「あんちゃん、ホントに建築物好きなんだねー?」
 唯兄の言葉にお母さんが笑う。
「確かに建築物は好きでしょうね。でもあの子の場合、零が作ったものだからより興味があるって感じじゃないかしら?」
「零樹さんにしてもあんちゃんにしても、この家族はどんだけらぶらぶなんだか……」
「あら、唯は入ってないの?」
 お母さんが口を尖らせると、
「いいえっ、悔しいから参戦させていただきますよ。で、リィは? 写真撮りに行くの?」
「んと……行きたいけど、三時には昇さんたちが着く予定なの」
「あ、治療?」
「うん。だから、そのあと……かな?」
「んじゃ、俺はセキュリティルームに行ってくる」
「仕事なの?」
「ううん。ちょっと挨拶だとか交流をば」
「唯ー? 邪魔しちゃダメよー?」
 お母さんの注意に、
「一応社会人ですから?」
 にこりと笑って席を立った。