二階部分はバーラウンジになっていることから、一階とはだいぶ雰囲気が異なるのだとか……。
 試験官を模した一輪挿しにはピンクのスプレーバラがいけられており、ところどころに私の撮った写真が飾られていた。
 写真の隅に「Photo by Re:merald」という印字を見つけ、ドキリとする。
 けれど、すぐにそれが実名でなくて良かったと思った。
 もしも「御園生翠葉」と印字されていたら、恥ずかしさのあまり、回れ右をして帰りたくなったに違いない。
 壁面の広い部分には大きく引き伸ばされた写真が飾られていた。
 改めてパンフレットに視線を落とし、お父さんに問う。
「ソールハビタットって……どういう意味?」
「静に訊いてごらん」
 お父さんは目尻を下げ嬉しそうに言う。