「あんちゃん聞いた?」
「聞いた……。翠葉がお腹空いたって言った。……ねぇ、父さん。聞き間違い?」
「いや、年齢的に俺の耳よりも蒼樹の耳のほうが確かだろ?」
「みんな聞こえたってことは私の空耳じゃないのね……」
「……そんなに私がお腹空いたって言ったらおかしい?」
 居心地の悪さに尋ねると、四人は同じタイミングで首を縦に振った。
 そんな私たちを見ていた御崎さんが、
「あちらにランチをご用意をしております」
 回廊の内側にある唯一の建物へ案内してくれた。
 その建物も半球体の建物。
 二階建ての一階部分がレストランになっていた。
 レストランといってもブライトネスパレスやウィステリアホテルのような重厚感はなく、カフェや喫茶店といった雰囲気。