解けない問題があるページには付箋をつけ、息抜きに得意科目の復習をする。
 そんなふうに三日間を過ごした。
 途中、あまりにも静かな私を見に家族がとっかえひっかえ部屋にやってきたけど、勉強している姿を見ると邪魔をしてはいけないと思ったみたい。
 二時間おきに声をかけられ、そのとき家にいる人がリビングに集まってお茶を飲む。
 夜に電気を点けたまま寝ること以外には、とくに大きな変化のない穏やかな日々を過ごしているように見えただろう。
 けれど本当は――。
 パレスへ移動する日まで、何時間何十分何十秒、と頭の中は絶えずカウントを取っていた。
 懐中時計のように、カチカチカチカチ、と0.5秒刻みで音が鳴っていた。