「ふふ……」
 乾いた笑いというよりも、震えから発せられたような声が漏れる。
「翠葉……都合良すぎるよ」
 メールをくれたときには会えないと思って、相馬先生に突き放されたら会いたくなるなんて――。
 会ったところで何から話したらいいのかもわかっていないのに。
 私は病室の片隅に置かれていたハープケースを手に取り病室を出た。