「……ごめん、なさい。でも、寝ることは寝たの。本当に……。ただ――暗いのが怖くなっちゃって……電気、点けていたくて」
 正直に話したらみんなの表情が和らいだ。
「そんなときは誰でもいいから呼びなさい? 兄ふたり、私と零。誰でも喜んで話し相手になりに行くわ。ね?」
 お母さんがテーブルを囲う面々を見ながら言う。
「うん。もちろん」
 唯兄が答えると、蒼兄が笑って言う。
「ふたりでカードゲームは味気ないけど、三人なら楽しめるじゃん」
「ちょっと待てちょっと待てっ! なんで三人なんだよっ! 父さんを除け者にするなっ」
 立ち上がって抗議するお父さんを見て、昨日の朝を思い出した。同じ言葉を口にした唯兄を。
 すると、唯兄も蒼兄も同じことを思ったのか、顔を見合わせ肩を竦めてクスリと笑う。
 私もほんの少し顔の筋肉が緩んだ。でも、心までは緩んでくれなかった――。