光のもとでⅠ

 蒼兄とお母さんに何も言われなくてほっとしていたら、思わぬところから痛い質問を投げられた。
「今夜帰るも明日の午前に帰るも大差なくない? なら、ゆっくり準備できるから明日にすれば?」
 キッチンから顔を出した唯兄だ。
 唯兄の意見がもっともすぎて、反論も、説得のひとつも出てこない。
 すると、ダイニングからお父さんの声がした。
「唯ー? 差ならあるぞー? おっきな差が」
「どんな?」
「明日、父さんが起きたら幸倉の家には家族がいるっ。したがって、寒い朝にひとりでご飯を食べずにすむ。これは大きな変化だ」
 うむ、と腕を組み真顔で主張し、そのあとはひとり頭に花を咲かせたように話を続けた。