光のもとでⅠ

「降ってきちゃったな」
「ん……明日も雨なのかな」
「……家に帰ったら天気予報を確認しよう」
 家――。
 今の言葉が指す家はゲストルーム。
「蒼兄……幸倉に帰るのは今日? それとも、明日?」
 今日でも明日でも大きな差はない。でも、できることなら早くおうちに帰りたかった。
「……幸倉が恋しい?」
 私は手元を見たまま小さく頷く。
「……じゃ、家に帰ったら用意して夕飯食べたらみんなで帰ろう」
「本当?」
 蒼兄がにこりと笑ってくれた。
「もし唯や母さんが帰る用意に時間がかかるって言うんだったら、俺と翠葉が先に帰るんでも問題ないし」
「……ありがとう」
「そんなに気にすることじゃないよ」
 蒼兄の左手が頭にポンと乗った。