九階の天井を見ながら廊下を歩く。
 果歩さん、退院できたかな……。
 いつもなら午前中に届くメールが今日は届かなかった。気にはなっているけど確認はしていない。
 エレベーターに乗り十階のボタンを見た。けれど、私の指は迷わず「1」のボタンを押した。
 会計を済ませ携帯使用可能ゾーンへと移動し、蒼兄に連絡を入れる。
 行きはお母さんが送ってくれたけど、帰りは学校帰りの蒼兄が迎えに来てくれることになっていたから。
 電話がつながると、すでに駐車場にいるとのことだった。
『車、正面玄関に回すからそこで待ってて』
「うん」
 携帯を切ると一件のメールを受信する。それは、三十分ほど前に果歩さんから送られてきたものだった。