高等部門前でバスを降り、足取り重いままにマンションまでの道のりを歩いた。
 マンションに着くと、エントランスにいた高崎さんが血相を変えて走ってくる。
「翠葉ちゃん大丈夫っ!?」
「え……?」
「顔色ものすごく悪いけど……」
「あ……少し冷えたんだと思います」
「……そう?」
「はい。なので……大丈夫です」
 笑みを添え、会釈してエントランスを通過した。
 エレベーターホールまで歩く間に思う。
 高崎さんに指摘されたということは、間違いなく唯兄やお母さんたちにも言われるのだろう。
 顔色が悪いのは珍しいことではない。でも、それをあえて指摘されるほどに悪いのだとすれば――。