「初等部に来るのも何年ぶりかわからないくらい久しぶりで、遊具の小ささや校庭の狭さにも驚いた。なんか、色々新鮮だったな」
 秋斗さんは改めて周りを見回し、バス停に着くとすぐに時刻表を確認した。
 どうやら、あと一分もすればバスは来るようだ。
 香乃子ちゃんとの会話を聞かれたのかが気になって仕方なくて、でも訊けないから……ふたりだけのこの時間には早く終止符を打ちたかった。
 バスに乗ったところでほかに乗客がいるかはわからないし、増えるのは運転手さんだけかもしれない。
 運転手さんは決して会話には加わらないだろう。それでも、完全な「ふたり」よりかはいい気がした。
 バスの音が遠くから聞こえてきたそのとき――秋斗さんの手が肩に置かれ、後ろから声がかけられる。