光のもとでⅠ

「悪い、驚かせた?」
 コクコクと頷くと再度謝られる。そして改めて訊かれた。
「で、何が終わるって?」
「あ……二学期」
 佐野くんはきょとんとして、頭をポリポリと二回掻いてから、
「確かに……今日で終り、だなぁ。でも、それがどうかした? 成績の心配はする必要ないだろ?」
「あ、うん……成績は――自分がやれることはやったと思うから」
「じゃぁ、なんでそんな憂い顔?」
「なんで、かな……。たぶん、少しびっくりしているの」
「何に?」
「……二学期が終わるまでここにいられたことに」
 自分の机にそっと手を乗せる。春からずっと変わることなく使ってきた机に。
 ペシッ――。