「仲のいいご家族ですね」
 クスクスと笑う荒沢さんは、
「今のうちに着替えてしまいましょう」
 と、再びフィッティングルームへと案内してくれた。
 着替えて出てくると、荒沢さんとお母さんが楽しそうに話していて、お父さんたちはいなかった。
「お母さん、お父さんたちは?」
「先にメンズ店へ移動したわ。私たちは少し休憩してから行きましょう」
 会計はすべて終わっていたらしく、あとはドレス一式を包むだけのよう。
「荒沢さん、あとで取りに来るわ」
 お母さんに背を押され、私は軽く会釈してショップを出た。