光のもとでⅠ

「それならこれとかこれも似合うと思う」
 違う洋服を二着手に取ると、唯兄とお父さんは吸い寄せられるように蒼兄のもとへ足を運んだ。お母さんだけがその場に残ってクスクスと笑う。
「結局のところ、蒼樹だって選び出したら止まらないのよ」
「でも……今日はドレスを買いに来たのでしょう?」
「そうだけど……ほら、家族揃って買い物に来るなんて初めてでしょう? いつもは二手に分かれるし。みんな、楽しいのよ」
「でも……」
 私にとってここの洋服はとても高価なもので、それこそ「お出かけ着」の位置づけにある。けれど、私は学校から帰ってきてどこかへ出かけるということはめったにないし、休日に出かけることも少ない。かといって、家でルームウェアのようには着れるものではない。買ってもらっても、着る機会がないのだ。
 着てもらえない洋服はかわいそうだ……。実際、誕生日に買ってもらった洋服は濃紺のワンピースにしか袖を通していない。