「ね? 行こうよ」
「うん……」
 きれいな青空を見たまま口が勝手に答える。
「よっしゃ、決まりっ! じゃ、みんな行こうっ!」
 海斗くんに手を引かれて教室を出る間際、
「海斗ストップっ!」
 飛鳥ちゃんの言葉にキュっと床が鳴り、私は海斗くんの背中に激突した。
「ごめん……」
「いや、急に止まった俺が悪いんだし……大丈夫?」
「ん、大丈夫」
 そこに呆れ顔の飛鳥ちゃんが来て、
「翠葉連れてくんだったらちゃんと防寒対策していくべしっ!」
 飛鳥ちゃんは私の首にグルグルとマフラーを巻きつけ、手には飛鳥ちゃん愛用の派手なピンクの手袋と、カイロを二個ポケットに放り込まれた。
「寒いの我慢できなかったら戻ってくるんだよ? 代わるからね?」
「……ありがとう」