「……お弁当の時間になるとうちのクラスに来るの。だから毎日会ってるよ」
 ただ会ってるだけ。なんとなく会話もするけど、しょせん「なんとなく」の会話。当たり障りのない話をしているからなのか、話した内容もしっかりと思い出せないような……。そんな会話なら毎日している。
「なんか、司っちが来なかったら会ってないような言い方だね」
 そのとおりすぎて返答に困る。
「で? 秋斗さんとは?」
「……今は図書棟に行くことがほとんどないから、秋斗さんとは会ってない。……どうして?」
「いや、どうしてるのかなと思って」
 部屋の前で立ち止まる。
「どうしてる……って何が?」
「いや……本当に、どうもしないのかな? ……と思っただけ」
「だけ」とは言うけれど、たんまりと含みのある声音だった。