「蒼兄……ネクタイやシャツだけでも新調したらどうかな?」
私はこそこそと耳打ちする。
「お父さん、それだけで満足すると思うの」
「……じゃぁ、小物だけ」
「小物だけと言わず靴も!」
調子に乗ったお父さんから追加案が提示される。
「あんちゃん……」
「蒼兄……」
「蒼樹……」
唯兄と私、お母さんの声が重なり、
「ワカリマシタ。じゃぁ、靴も……」
蒼兄が渋々折れると、お父さんはソファから立ち上がり、万歳をして喜んだ。
喜び方が無邪気。お父さんが笑っていると家の雰囲気が底抜けに明るくなる。帰ってきたときとテンション変わらずな感は否めないけれど、二月からずっと、十一ヶ月近く家族と離れていたのだ。しばらくはこのままかもしれない。
そんなことを思いながら、ご機嫌なお父さんを見ていた。
私はこそこそと耳打ちする。
「お父さん、それだけで満足すると思うの」
「……じゃぁ、小物だけ」
「小物だけと言わず靴も!」
調子に乗ったお父さんから追加案が提示される。
「あんちゃん……」
「蒼兄……」
「蒼樹……」
唯兄と私、お母さんの声が重なり、
「ワカリマシタ。じゃぁ、靴も……」
蒼兄が渋々折れると、お父さんはソファから立ち上がり、万歳をして喜んだ。
喜び方が無邪気。お父さんが笑っていると家の雰囲気が底抜けに明るくなる。帰ってきたときとテンション変わらずな感は否めないけれど、二月からずっと、十一ヶ月近く家族と離れていたのだ。しばらくはこのままかもしれない。
そんなことを思いながら、ご機嫌なお父さんを見ていた。


