今日の夕飯はお鍋だろうな、と予想しながらお父さんの体温を感じていると、薬が効いてきて少し休むことができた。
 生理がくるといつも同じ。薬が効いているほんの数時間だけ眠ることができる。寝ては痛みに起され薬を飲み、寝ては痛みに起され薬を飲み――延々とその繰り返し。

 夕方、目を覚ますと部屋には蒼兄がいた。
「蒼兄……?」
「あ、起きたか。薬、飲むだろ?」
「……うん」
「じゃ、お湯持ってくるからちょっと待ってな。あぁ、湯たんぽのお湯も替えてくる」
「ありがとう」
 蒼兄は読んでいた本を閉じ、湯たんぽを持って部屋から出ていく。
 私の具合が悪いときに誰かが部屋にいるのは珍しいことではない。けど、昨日からずっと人がついてくれている。それだけ心配されてるんだな、と思いながら身体を起こした。
 少しでも大丈夫なところを見せなくちゃ――お母さんが出かけるまでに。