光のもとでⅠ

「あの人、セリのこと知ってるから。……知ってるっていうのは、生きてた頃を知ってるっつーか、俺の家族がいた頃を知ってるっつーか……」
 歯切れ悪く話す様は、唯兄と出逢った頃を彷彿とさせた。
「……唯兄、話さないから安心して?」
「でも、あっちは訊いてくると思うから――」
「大丈夫。話したくないって言えば果歩さんはわかってくれると思う」
「……ごめん」
 やっと顔を上げたかと思ったら、なんともいえない苦々しい表情をしていた。
 私は唯兄の近くまで行きパーカーの袖を掴む。
 本当は手に触れようとしたの。でも、どうしてかな……。直接、手に触れるのを躊躇ってしまった。
「大丈夫?」
「少し動揺してる」
 唯兄は私が掴んでいないほうの手で前髪をくしゃくしゃとする。