私はソファに置いてあったかばんを手に取り、軽く会釈する。部屋から出ようとした唯兄に、
「若槻くん、オフレコだからね」
 楓先生が念を押すように声をかけた。
「了解でーす」
 病室を出た瞬間に唯兄が零す。
「楓さん趣味わっる」
 と――。