光のもとでⅠ

「あれ? 若槻くんと果歩って知り合い?」
「なんで若槻がここにいんのよっ」
「それはリィのお兄さんだからです」
 よくわからない混沌とした会話がなされる。
「リィって誰よ?」
「リィはリィです」
 果歩さんの質問に、唯兄はどう考えても説明の足りない返事をする。
「あの、リィは私です」
 口を挟むと、
「ミソノウスイハ、どこを取っても『リ』なんて文字はないんだけど、あんた頭おっかしいんじゃない?」
 リメラルドの話をここでするわけにはいかず、
「あぁ、えっと、それは愛称みたいなもので……」
 私がおろおろと答えると、
「そうです、愛称。仲がいい証拠」
 唯兄はにこりと隙のない笑顔を作り、棘のある声を返す。