「もしよろしければまた遊びにいらしてください。ハナも喜びます」
「……はい」
「御園生さん――あまり『藤宮』に振り回されすぎないように」
「っ……」
「私が言うのもおかしな話ですが……。点滴はあと一時間ほどです。ご自宅には私から連絡を入れましたので、その頃にはお迎えがいらっしゃると思います」
 お礼を言わなくてはいけないのに、私はそのまま涼先生の背を見送ってしまった。