涼先生はディスプレイから視線を上げ、
「近々、胃カメラをやりませんか?」
 私は間をおかずにフルフルと首を横に振る。
「どうやら胃カメラが苦手なようですね」
 涼先生はふっと笑った。
「まぁ、この検査を好まれる方は稀でしょう。……ですが、診ておいたほうがいいと思いますよ?」
 今、この調子で胃カメラを飲むこともつらければ、検査後の胃の不調に耐えられる気もしない。少し考えただけでも恐ろしい。
「胃カメラなら、夏休み前にも受けています」
 私は必死の抵抗を試みる。
「えぇ、データがありますね。……御園生さん、人体は案外と脆いものでして、一晩で胃壁に穴が開いてしまうこともあるんですよ?」
 知らないわけではない。でも――。