高崎さんと崎本さんに見送られてマンションを出た。
学校の駐車場に車を停めると、
「今日は昇降口までついていくよ」
いつもなら断るけれど、今日は少し不安だったからか、断る言葉を口にできなかった。
つい、制服の袖から少し見えるバングルを右手で隠す。
「……気になるのか?」
「……少し」
実のところはかなり、だ。
衣替えがあってから、少しずつ視線を感じるようになった。
誰かに何かを言われたことはないけれど、先日の誕生会でドレスを着た際に、バングルが腕に付いていることは全校生徒に見られただろう。
そして、それはドレスを着用していたから、ということではなく、普段の制服時にもつけていることはすぐに知られてしまう。
直接誰かに訊かれることはないかもしれない。けれども、訊かれないということは説明する機会もないということだ。
そもそも、訊かれたところで司先輩や桃華さんたちクラスメイトにしたような説明ができるわけでもないけれど。
どっちに転んでも解決できることではないのなら、気に病むだけ無駄なことなのに……。
そうは思っても心は晴れない。
そんなことを考えながら歩いていると、
「翠葉、お出迎えだよ」
と、蒼兄に背中を押された。
学校の駐車場に車を停めると、
「今日は昇降口までついていくよ」
いつもなら断るけれど、今日は少し不安だったからか、断る言葉を口にできなかった。
つい、制服の袖から少し見えるバングルを右手で隠す。
「……気になるのか?」
「……少し」
実のところはかなり、だ。
衣替えがあってから、少しずつ視線を感じるようになった。
誰かに何かを言われたことはないけれど、先日の誕生会でドレスを着た際に、バングルが腕に付いていることは全校生徒に見られただろう。
そして、それはドレスを着用していたから、ということではなく、普段の制服時にもつけていることはすぐに知られてしまう。
直接誰かに訊かれることはないかもしれない。けれども、訊かれないということは説明する機会もないということだ。
そもそも、訊かれたところで司先輩や桃華さんたちクラスメイトにしたような説明ができるわけでもないけれど。
どっちに転んでも解決できることではないのなら、気に病むだけ無駄なことなのに……。
そうは思っても心は晴れない。
そんなことを考えながら歩いていると、
「翠葉、お出迎えだよ」
と、蒼兄に背中を押された。


