「……お任せしてもいいですか?」
「うん、任せて。保健室で横になることを考えると、両サイドを編みこんで、後ろの髪の毛の下をくぐらせてひとつにまとめるのが無難ね」
 言うと、髪の毛の分け目を六対四くらいにしてサイドの髪をそれぞれ編み始めた。
 栞さんは手先が器用だと思う。
 ご飯を食べながら関心していると、
「翠葉、ほらあともう一口。八時回ったから薬飲んだら出るよ」
「あ、はい」
 私は慌てて最後の一口を口に放り込み、ミルクで飲み下した。
 その間に栞さんが携帯で電話をかけ始める。
「あ、高崎くん? 今から蒼くんたち下りるからよろしくね」
 用件はそれだけだったようだ。
「栞さん、割と近くに駐車場を移してもらったので大丈夫です」
 蒼兄が言うと、
「でも、この時期だからね。こんな時間でも車の中はかなり暑いわ。先にエンジン回してもらうだけでも違うでしょ?」
 と、ウィンクひとつ。
 栞さんに送り出され、蒼兄とふたりゲストルームを出た。