「飲み物はっ!?」
「あ……飲み終わっちゃった」
 急に声の張力が緩み、気の抜けたような声でマグカップを振ってみせる。
 私はその隙にベッドまで駆け寄った。
 移動テーブルの上はきれいに片付いていた。
「レポート、終わったんですか?」
「もちろん。……で、さっき、その苦労の結晶、レポート様を楓さんに奪われたとこ」
 途端に表情に凄みが増す。
「え……?」
「自分が提出してくるとか言って持ち去った。翠葉ちゃんっ、どう思うっ!?」
 え? 何? どういうこと?
「本当はさ、私が自分で提出しに行きたかったのに、まだ産科の先生から許可下りてないとか言って……。温情措置とってもらってるんだから教授のところには自分で持っていきたかったのにっっっ」
 この時点で察したこと。