「あんちゃん、俺唯兄って呼ばれちゃった」
「念願かなったりだな?」
 ふたりは私の頭の上で言葉を交わす。
「うん。若槻さんじゃなくて唯兄……今ならそう呼べる」
「強制じゃなくてさ、こんなふうに自然に読んでもらえると嬉しいね」
 唯兄は本当に嬉しそうに笑っていて、つられて私も笑顔になる。
 栞さん、ラベンダーティー飲んでも大丈夫だった。
 血圧が下がるどころか、ちゃんと精神安定剤の効果もあったよ。
 それは、このふたりの兄がもたらしてくれたのかもしれないけれど、でも、どちらであってもいいの。
 相乗効果かもしれないから。