「じゃ、治療が終わったら携帯鳴らしてもらえる?」
「はい。……あ、でも番号知りません」
「あ、そうだったね」
 楓先生は一度エレベーターから降りて、一緒に携帯が使用可能なコーナーへと向った。
 そこでお互いに電源を入れ、赤外線通信で番号やメールアドレスの交換をする。
「十階は治療に制限がない限り携帯の電源を入れていても大丈夫なんだ。だから、連絡してくれれば九階まで迎えに下りるから」
「はい、わかりました」
 私と楓先生は再びエレベーターホールまで歩き、そこで別れた。