「ごめんなさい……」
自然と口から出た言葉。
「謝る必要なし。こんなの防ぎようないでしょ。起きられる?」
訊かれて、ゆっくりと身体を起こす。
私はラグの上に横になっていた。ピアノの方へ向って背中から倒れたらしい。
「痛いところ、ない?」
楓先生に訊かれ、身体の節々を触ってみたけどとくに痛む場所はなかった。
「大丈夫です」
「なら良かった」
声が……人の声がはっきりと聞こえた。静かだから、とか。自分だけに向けられている言葉だから、とか。そういうことではなく、同じ空間にいることを認識できた感じ。
酸素が吸えた。すぅ、と息を吸い込むと、きちんと肺の奥まで酸素が満ちる。
「どうかした?」
栞さんの言葉につい――。
自然と口から出た言葉。
「謝る必要なし。こんなの防ぎようないでしょ。起きられる?」
訊かれて、ゆっくりと身体を起こす。
私はラグの上に横になっていた。ピアノの方へ向って背中から倒れたらしい。
「痛いところ、ない?」
楓先生に訊かれ、身体の節々を触ってみたけどとくに痛む場所はなかった。
「大丈夫です」
「なら良かった」
声が……人の声がはっきりと聞こえた。静かだから、とか。自分だけに向けられている言葉だから、とか。そういうことではなく、同じ空間にいることを認識できた感じ。
酸素が吸えた。すぅ、と息を吸い込むと、きちんと肺の奥まで酸素が満ちる。
「どうかした?」
栞さんの言葉につい――。


