光のもとでⅠ

「気づいたなら返事しなさいっ」
 先生の大声にはっとする。
「は、い……」
 今まで誰かに何かを言われていただろうか。
 頭の中で、目を開けたときに映った顔を思い出す。
 昇さんも湊先生も口を開けていた。それはつまり、何か声を発していたのだろう。
 そんな認識。
 でも――なんで先生たち……。
「脈が跳んだだけだから大丈夫よ」
 湊先生の言葉に、「あぁ」と思う。
 きっと不整脈で意識が一時的になくなったのだ。
 急に立ったわけでも血圧が下がったわけでもない。ただ、脈が跳んだだけ。
 時々こうやって意識がなくなることがある。
 紫先生にかかり始めたころにとても多かった症状で、最近は少し減っていた。だから、少しびっくりした。
 でも、びっくりしたのは私だけじゃなくて、むしろ周りにいる人のほうが驚いただことだろう。