授業の最後に待っていた実技はコンドームを模型にかぶせる、というものだった。
 中学で手にして以来のコンドームを目の前に息を呑む。
「刷り込まれた印象はなかなか拭えないと思うけど……。でも、これは汚いものじゃないの。むしろ翠葉ちゃんとパートナーを守ってくれるものよ? だから、つけ方を覚えようね」
 そう言われ、小さな四角い包みを渡された。
 コンドームにはあらかじめ少量の潤滑液がついていて、ハイソックスをふくらはぎから足首までクルクルと巻いて下ろしたときのような状態で入っている。
「この突起がある方が表。見本を見せるわ。できる限りコンドームに空気が入らないように密着させて根元までかぶせるの」
 先生は細い指先でゆっくりと器用にかぶせていく。そして、「捨てるときには結んで捨てる」と教えてくれた。
「さ、やってみよっか!」
 私は包みを開け、先生がしたように模型にそれをかぶせた。
「うん、ちゃんとできたね。これにて私の性教育は終わります。また来年、夏休み前に確認事項のような筆記テストと、今と同じ実技テストがあるけど……大丈夫ね?」
「はい」