光のもとでⅠ

 コンドームとあわせて教えられたのがピルだった。
 コンドームだけでは百パーセントの避妊はできないのだという。
 最初からゴムに傷がついていて破れているものもあれば、行為の途中で外れてしまい、精液がゴムから漏れ出てしまった場合、当然ながら避妊としての効力は無効となる。
 一方、ピルは排卵自体を止めるため、精子が体内に入っても受精する卵子が存在しない、という状況になるらしい。
「通常、ピルは婦人科系の病気や生理痛が重い女性の治療薬として使われる。これらは保険適用なのだけど、避妊目的でピルを使用する場合には保険はきかないの。でも、避妊においてはとても有効な薬なのよ」
 ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの ふたつの女性ホルモンが含まれており、それが脳の下垂体に作用してホルモンの分泌を抑える。ホルモンの分泌が抑えられるということは卵胞の成長が抑えられるということ。卵胞ホルモン、黄体ホルモンの両方が抑制されるため、結果として排卵が起こらなくなる。
 これはピルを処方されたとき、藤原さんと湊先生から二度にわたって説明を受けていた。