「……そっか。でも、この学園は学習意欲のある子や成績のいい子には温情措置が手厚く敷かれてるはずよ? もし入院ということになっても学校の授業を通信で受けることができるし、それ相応の課題をこなすことで進級が認められるはずだわ。つい先日、何か新しいシステムも導入されたみたいだし……」
 そのことは川岸先生から聞いていた。でも、未だに私の中では「特別扱い」というものへの抵抗がある。
「この提示の仕方は翠葉ちゃんには合わないのかもね」
「え?」
「うちの学校の生徒は将来の夢がはっきりしている子が多いの。だから、今子どもができたらその夢を諦められるか、という問いかけをするのだけど、翠葉ちゃんにはちょっと向かないみたい」
 目標をすぐに答えられない自分がひどく情けない気がした。