部屋に入りベッドに横になって頭のマッサージを受ける。
 見ている限りでは不機嫌には見えないのだけれど、口を開くと覿面というか……。
「今日はご機嫌斜めなんですか?」
「……別に」
 学校で何か嫌なことでもあったのだろうか。でも、今日は日曜日だし……。部活で、かな?
 何か訊いたほうがいいのだろうか。それとも、何も訊かないほうがいいのだろうか。
 悩んでいると、司先輩が口を開いた。
「前にホテルで俺を見かけたって言っていただろ?」
「え? あ、はい」
「そのとき一緒だった女子……。夏休みに家庭教師をすることになった」
「はぁ……」
「夏休みからのはずなのに、今回の期末から見ろとか言われてイライラしたまま部活にいったら、今年初――的を外した」
 恐ろしいまでの不機嫌オーラのままに話す。
「……先輩、なんだかとてもどす黒いオーラを感じるのですが……」
「あぁ、気のせいじゃないと思う。こっちはインハイ前で忙しいっていうのに、何考えてるんだか……」
 相当イライラしているらしい。
 でも、そっか……。インターハイ、もうそんな時期なのね。