「最近の子は発育がいいから初経を迎える時期も徐々に早まってきているわ。それに伴って性教育もきちんとしないといけないのに実状はまだまだってところね。国語や算数、道徳のような教科は文部科学省が示す学習指導要領で決まっているの。でも、教科に含まれない性教育は学校によりけり。充実した性教育を設けている学校もあれば、翠葉ちゃんの母校みたいな学校もある」
 そこまで話すと先生は私から離れる。
「よしっ! 飲もうっ! もう一気飲みできるくらいの温度でしょ?」
 先生はハーブティーの入ったカップを指差して言う。
 できるかできないか、というならできるだろう。でも……。
「一気に飲んで、今の話し忘れちゃおう。で、新しく淹れなおしてうちの学校自慢の性教育をしてあげる」
 私は先生の勢いに呑まれて一緒にハーブティーを飲み干した。