「翠はこっち」
司先輩の腕だった。
「それね、さっき司くんが作ったのよ」
と、栞さんが教えてくれる。
思わず司先輩の顔を見ると、
「そんなの誰でも作れる。生クリーム泡立てて中に缶詰のフルーツ入れるだけ」
「……あの、私まだ何も言ってないのですが……」
「言われた気がした」
「いえ、まだ何も……」
そんな会話をしていると、
「ねぇ、ふたりっていつもそんな会話してるわけ?」
海斗くんに訊かれた。
そんなって……どんな?
「そうだな……基本、翠葉が何か話す前に司がその答えを言うな」
答えたのは私でも司先輩でもなく、海斗くんの隣に座っていた蒼兄がだった。
「そうね、司くんは翠葉ちゃんの表情を読むのが上手よね」
言いながら栞さんがクスクスと笑う。
「普段は人のことなんてどうでもいいって感じのくせにね」
湊先生は口端を上げてケラケラと笑った。
蔵元さんはその場の会話をじっと聞いているのみ。
「翠、今日は夕飯のあとになるからマッサージは頭のみね。じゃ、いただきます」
先輩はきちんと手を合わせてからスプーンを手に取った。
まるで今までの会話がなかったように、それはそれは見事に自分のペースを守る。
司先輩の腕だった。
「それね、さっき司くんが作ったのよ」
と、栞さんが教えてくれる。
思わず司先輩の顔を見ると、
「そんなの誰でも作れる。生クリーム泡立てて中に缶詰のフルーツ入れるだけ」
「……あの、私まだ何も言ってないのですが……」
「言われた気がした」
「いえ、まだ何も……」
そんな会話をしていると、
「ねぇ、ふたりっていつもそんな会話してるわけ?」
海斗くんに訊かれた。
そんなって……どんな?
「そうだな……基本、翠葉が何か話す前に司がその答えを言うな」
答えたのは私でも司先輩でもなく、海斗くんの隣に座っていた蒼兄がだった。
「そうね、司くんは翠葉ちゃんの表情を読むのが上手よね」
言いながら栞さんがクスクスと笑う。
「普段は人のことなんてどうでもいいって感じのくせにね」
湊先生は口端を上げてケラケラと笑った。
蔵元さんはその場の会話をじっと聞いているのみ。
「翠、今日は夕飯のあとになるからマッサージは頭のみね。じゃ、いただきます」
先輩はきちんと手を合わせてからスプーンを手に取った。
まるで今までの会話がなかったように、それはそれは見事に自分のペースを守る。


