光のもとでⅠ

 棒読み以前に息継ぎがなかった。
 決して似ても似つかない声音に口調。
 だけど、唯さんがそれを言っている様なら安易に想像できる。
 まるで、生霊でも飛んでいるかのようにあの顔が脳裏に思い浮かぶから最悪……。
 この場には俺と翠しかいないはずなのに、急に唯さんに割り込まれた気がした。
 若槻唯こと、御園生唯芹――。
 秋兄に気に入られ、さらには部下として数年働いている時点で変人決定なわけだけど、それにしても規格外すぎる。
 それは仕事における知識やスキル以外の部分においても。