光のもとでⅠ

 どんな手を使ってでも自分のもとに引き止めておきたい。
 このまま、目に見えてどんどん強欲になっていくのだろうか。
 欲が深まれば苦しくなるだけだというのに――。
 翠が戻ってくるまでにシャワーを済ませよう……。

 頭を冷やすつもりだった。
 少し冷たいシャワーを浴びたのはそのためのはずだった。
 けど実際には、「冷たい」と感じるものが肌に触れると、池で感じた闇に呑まれそうになる。
 布石は打った。が、ここに翠が戻ってくる確証はない。
 下には御園生さんと唯さんがいるわけで、先輩から部屋の鍵を受け取れば俺が出なくても部屋に入ることができる。
 そうして、かばんを持っていかれたら――。