光のもとでⅠ

「そんな簡単に答えを出していいわけ?」 
「……え?」
「せっかく与えられたチャンスなのに、そんな簡単に答えを出していいのか、って訊いてる」
 俺は自分の声が震えていないことにほっとした。
 いつもどおりに話せていることに心底ほっとした。 
 たぶん、防衛本能が働いたのだと思う。
 自分がこれ以上傷つかないための本能が。
 謝るとか謝らないではなく、許す許さないでもなく、ただひとつ――翠を失うことが怖くて。
 翠との関係を絶たれることが怖くて。
「ツカサ、そっちに行っちゃだめかなっ?」
「来ないで」
 こんな自分は見られたくない。
 この距離が限界。
「……ごめんっ。そっちに行く。顔を見て話したいからっ」
 サラ、と勢いよく衣擦れの音がした。
 バカっ、急に立ち上がるなと何度言ったら――。