五時半を回ると、
「そろそろお暇するわ」
 と、桃華さんが切り出した。
「え……?」
「体、やっと起こせるようになったばかりなんでしょう? 長居して疲れさせたんじゃお見舞いに来た意味ないじゃない」
 サラリと言われて少ししゅんとする。
「名残惜しいけどっ、でも早く学校に出てきてほしいしね」
 と、飛鳥ちゃんに手を取られる。
「何かあったら悩んでないで連絡してこいよ」
 佐野くんに言われ、みんなが帰ってしまうのは寂しいのだけど、どうしてか心はあたたかいままだった。
「俺は今日、こっちに泊りだからまだいるし」
 海斗くんの言葉にも少しほっとした。
「なんだか嬉しいわね?」
 桃華さんがクスリと笑う。
「うんうん、これは後ろ髪引かれそうになるな」
 と、佐野くんが笑みを深めた。
「この顔が見られればメールの件も許せちゃうよね?」
 と、飛鳥ちゃんが満面の笑みで口にした。
 首を傾げると、
「すっごく寂しそうな顔してくれたじゃない」
 と、桃華さんに指摘された。