十一月二十二日月曜日――。
 必殺仕事人の如く仕事を片っ端からやっつけていると、秋斗さんから通信が入った。
「なんですかー? まだ一時ですけど? 今やってるのって六時が納期でしたよね? 違いましたっけ?」
『その件じゃない』
「じゃ、どの件ですか?」
 俺は高速連打を止めずに答える。
『オーダーが入った。翠葉ちゃんの携帯のバックアップを取るように』
 ピタリ、と手が止まる。
 このときまで俺は知らずにいたよね。
 まだあの件と向き合ってる人間がいたなんてさ。
 もともと学園警備は俺の管轄外だし、知らなくてもおかしくはないんだけど。
 リィがパレスから帰ってきた翌日、司っちに学園警備を動かす権限が与えられていたなんて寝耳に水もいいとこだった。
 雅嬢のことも佐々木のことも派閥のことも、何もかも片付いたものだと思っていたのだから。