俺はゆっくりと彼女に近づいた。
彼女は座ったまま動かない。
司が走り去ったそのときから、ずっとこんな表情をしているのだろう。
口を少し開け、手元の携帯に視線を落としている。
茫然自失そのもの――。
「翠葉ちゃん、帰ろう」
彼女は瞬きもせず、身体を揺らすことなく消え入りそうな声で「はい」と答えた。
見ていられないほどに痛々しい。
今すぐ抱きしめたくなるほどに。
彼女にかけられていた男三人分の制服を武政に渡し、代わりに用意されていた毛布で彼女を包む。
包んで、そのまま抱き上げようとした。
自分の腕の中におさめたくて。
早くこの寒い場所から、棘だらけの場所から連れ出したくて。
彼女は座ったまま動かない。
司が走り去ったそのときから、ずっとこんな表情をしているのだろう。
口を少し開け、手元の携帯に視線を落としている。
茫然自失そのもの――。
「翠葉ちゃん、帰ろう」
彼女は瞬きもせず、身体を揺らすことなく消え入りそうな声で「はい」と答えた。
見ていられないほどに痛々しい。
今すぐ抱きしめたくなるほどに。
彼女にかけられていた男三人分の制服を武政に渡し、代わりに用意されていた毛布で彼女を包む。
包んで、そのまま抱き上げようとした。
自分の腕の中におさめたくて。
早くこの寒い場所から、棘だらけの場所から連れ出したくて。


