光のもとでⅠ

 本当の答えは易々と与えてはいけない。
 俺が唯にどう動いてもらいたいのかを考えてもらうために。
 見えそうで見えないもの。
 そういうものに人は存外想像力をかき立てられる。
 手が届きそうで届かないもの。
 そういうものにはどうしたら手が届くか、と考えをめぐらす。
 全部が見えているよりも、見えない部分があるほうが「考える」という行為を助長する。
「じーさんが何をしようとしているのか、俺もたがえずにわかっているのかは怪しいんだ。だけど、自分の欲望を抑えてでも相手のことを思いやれるか、っていうことは課題に入っている気がする。うちの一族は欲望のままに、を地で行くタイプが多いから」
 瞬発力で返事をしてくる唯にしては反応にかなりの時間を要していた。
 そして、どすの利いた声が返される。