君が食いつく話しならいくらでも出てくる。
 ずっと話していられる自信がある。
 でも――いつかは会話がなくても穏やかな心でいてもらえるようになりたい。
 そんな日が来るまで、俺はずっと話題を提供し続けるよ。
「翠葉ちゃん、俺なら、翠葉ちゃんが困るようなことはしない」
 俺は司みたいにへそ曲がりじゃないから。
 そんなところは自分を推薦することができる。
「今日、司と一緒にいたときの君はすごく困っているように見えた。でも、俺ならそんなことにはならないよ」
 そんな俺はどうかな?
 彼女の眉がきゅっとひそめられたとき、カランカラン――カフェのドアが開く音がしてそちらを見ると、息を切らした蒼樹が立っていた。