携帯には俺がプレゼントしたストラップが使われている。
 しかし、そこには司があげたというとんぼ玉と、唯の分身のような鍵が一緒にぶら下がっていた。
 並列――漢字二文字が頭に浮かぶ。
「あの……」
「ん?」
 彼女は通話口を指で押さえていた。
「出てくるのに十五分くらいかかるみたいで……」
 どこか不安そうな顔。
「十五分なんてあっという間だよ」
 そう答えたけれど、彼女はまだ何かを懸念しているようだ。
「お時間、大丈夫ですか?」
 俺はおかしくなって笑う。