口をつけると、少しぬるくなった酸味のあるお茶が口いっぱいに広がる。
「翠葉は体調も大変なのに、恋愛も大変ね」
 桃華さんに言われて、
「本当に……。どうしたらいいのかな」
 どんな顔をしたらいいのかわからなくて、一生懸命笑顔を作ろうとする。でも、それは苦笑にしかなりはしなかった。
「そのままでいいんじゃないかしら」
 桃華さんの一言に顔を上げ、
「……そのまま?」
「秋斗先生はそんな翠葉だから好きになったんじゃないかしら?」
「あぁ、ある意味そうかもー……。だって秋斗先生だったら苦労しなくても女の人よりどりみどりだろうし。なのに翠葉なんだよ?」
 そんなふうには考えられなかった。
 どちらかと言うと、何も許容できない私に呆れてしまったのではないだろうか、と思う。
 それに、どうして私を好きになってくれたのかもわからなかった。
「どうして私だったのかな……」
「それは本人に聞かないとわからないわよ。……ね、今のその気持ちを秋斗先生に話すことはできないの?」
 桃華さんに訊かれてドキリとする。