あらかじめ用意された舞台でそれらしいシナリオまであって……。
 セッティングされた環境だとしても、結果がどんなことになろうと、司にとってすべてがマイナスにならないと思うからこそ、余計に手出しができない。
 翠葉ちゃんにだって少なからずとも余波はくる。
 わかっている……わかってはいるけど、現時点で司を優先してしまうのは、司をこうしてしまった後ろめたさだろうか……。
 ごちゃごちゃと考え顔を上げる。
「司のほかにももうひとつ……。寂しいかもしれないけど、まだじーさんを連れていかないでほしい。ものごとには順番があるって知っているけど、もう少しじーさんと過ごさせて? 俺、今まで何もしてきてないからさ。もう少し……もう少し時間が欲しいんだ」
 俺はふたつのお願いをして墓前をあとにした。