ファイルには会話の一部始終が記録されていた。
 再生が終わると蔵元が口を開く。
「今回の件に関しては全体像をお話でいらっしゃいましたね」
「あぁ……」
 たかが十七歳の小娘、一生徒の色恋沙汰に警備会社は関与しない、と言っていた。
 それも警備サイドの見解とほぼ同じだが、問題はそのあと――。
 じーさんは、「雅は頭が悪いと思うか?」と切り出した。
 司は虚を衝かれたような反応を見せたが、淡々と己が知るそれを話した。
 その話を聞き終わったじーさんは、果たしてそうなのか、と口にしたうえでファイルを見せている。
 ファイルを見ているであろう司に、雅の身の上話をしていたが、そこには何ひとつ嘘が含まれない。
 真実のみが語られていた。