光のもとでⅠ

 渦中の彼女には話すだろうか……?
 答えは否。
 何も知らないところで片付けたい。
 こと、記憶が戻ったばかりの彼女に負担はかけたくない。
 もっと言うなら、身から出たさび、とも言えるようなうちの事情に巻き込むことを悟られたくはない。
 自分たちに関わることを選んでくれた彼女であったとしても、できることなら何も知らせずに――。
 ここまで考えて、ふと思う。
 何も知らぬままにすべてを終えることができるのか、と。
 ケースバイケースではある。が、この場合、越谷まりあが「何かをしたとき」に初めて取り押さえることができる。
 証拠や証人を伴って厳罰を仰ぐ、という状況にするのなら、ターゲットにされている翠葉ちゃんにトラブルが起こることは必須。
 彼女が何も気づかないわけがない。