「何かわかりそうですか?」
「とりあえず、水が胃まで落ちたことならわかった」
 冗談はさておおき、
「わかっていることは、じーさんが司を嵌めようとしてるってことかな」
「つまり、試されている、と?」
「試されているだけならいいけど、落とし穴に突き落とそうとしている気がしてならない」
「なんのために?」
「感情を――ありとあらゆる感情を知るために」
「感情を、ですか?」
「ほら、俺もそうだけど……俺たち、翠葉ちゃんが絡むと表情が喜怒哀楽が豊かになるでしょ?」
 逆を言えば、彼女が関わらなければすべて無関心に通りすぎてしまう。
「それを利用して何かしようとしているとしか思えない」
 厄介ごとが片付いたかと思えば、身内が厄介を起こす。
 いい加減にしてほしい。
 身体と頭がいくつあっても足りる気がしない。